不安を掻き消そうとした。
辛いことを忘れようとした。
一人になろうとした。
休日の昼下がり、ランニングシューズを履いて街へ出た。
スタート地点はいつもの公園。
街の中を駆け抜けていく。
団地を抜けて。
橋を渡って、河を超えて。
だんだんと日が落ちて、いつの間にか元の場所へ戻っていた。
時は止まっていた。
少しの間、風が通り抜けた。
僕はあと、どれだけ走れるだろうか。
どこまで孤独と向き合えるだろうか。
あの夜をまた、越えていけるだろうか。
行先はまだ、見えない。